UBL-016 YAGI Weizen Bock

2019/01/10 一年越しの開栓

新しいバッチの瓶詰めを行うに当たり、手持ちの瓶がなくなってしまったので過去に瓶詰めしたものを空けることにした。UBL-001からUBL-028までのバッチについてはすべて一本づつ保管をしていたため、倉庫には28本のビールがあるのだが、いずれも常温での保管であったため、品質的にどれも死んだも同然と考えていたのだが…


王冠を外してみると勢い良く炭酸ガスが吹き出る。グラスに注ぐとやや過剰なカーボネーション。泡はきめ細やかで泡持ちも良い。この時点で驚きだが、特筆すべきはそのアロマであった。一言で形容すればヴァイツェンボックはベルジャントリペルに姿を変えていた。バナナ感は有るが、それ以上にベルジャンに特有の非常に濃密で複雑な熟れた果実のようなアロマが非常に強いのだ。瓶詰めして一ヶ月間にほとんどの瓶は飲みきってしまったが、当時そのような雰囲気は一切なかったため、これは間違いなく熟成による効果だ。フレーバーも同じくトリペルのような雰囲気だ。一年越しの開栓であったためそもそも飲めること自体が驚きだが、この変化はあまりにも劇的で、もっと熟成について考えるべきだと思った。

ヴァイツェンやベルジャンのようなヨーロッパ系のビールは瓶内発酵熟成のものが多く有るが、ホームブルーでその効果が実感できたのは面白い。ヴァイツェンについては瓶詰め後のカーボネーションが完了したタイミングで顕著だった苦味や酸味、渋みといった不快感が貯蔵とともに減衰し、一ヶ月も経つとかなりいい方向へ向かうとの経験則が合ったが、それともまた違ったベクトルの結果が得られたのが今回のものだ。今後、ヴァイツェン、ベルジャン系を作っていく際には、それだけの期間寝かせることを前提にいろいろ考えていこうと思う。