Vacuum Mixer

真空ミキサーの製作

せっかくなんでも雑に真空に出来るアスピレータを3Dプリンタで製作したので、かねてから計画していた真空ミキサーを3Dプリンタを活用して自作することにした。

■真空ミキサーとは

通常のミキサー最大のデメリット。それは撹拌時の空気の巻き込みである。空気が強烈に被撹拌物と混合されることで、完成品の酸化は免れず、また撹拌の家庭で微細な泡が液体中に導入されるため濃密感が失われてしまう。ならばその原因たる空気そのものをミキサー内部から除去してやればいいじゃないか!というのが真空ミキサーのコンセプトである。

システムとしては単純で、ミキサーの撹拌容器からチューブを引き出し、何かしらの真空ポンプに繋げば良い。上の図では当時考えていた自作真空フロアポンプの構造図が乗っているが、アスピレータが完成した今、それを使わない手はない。

ということでFusion360でこのような部品を用意した。左のプレート中央には1/8の管用雌ねじが設けられており、ここに継手をねじ込むことで、アスピレータとの接続が可能になる。そして左のネジ付きのリングによってプレートとミキサー本体を固定する。

ということで色々飛ばして無事完成。中国メーカーのポータブルミキサーをベースに実装したので、思った以上にクールな外観となった。

上部プレートから分岐して片方は圧力計、もう片方にバルブを設けた。この先にアスピレータを接続し、内部の空気を抜き去ってから撹拌操作をすることで一切酸化が生じず、泡立ちもない超絶濃厚フレッシュ液体が完成するはずである。

プレートとガラス筒の間には、シールのためにシリコンパッキンを設けている。減圧されるとその分強く押し付けられ、完璧なシール性能を発揮する。3Dプリントで刷ったプレート表面は非常になめらかで、一切の表面処理無しで問題なく動作した。

■実践-究極のバナナオレを作れ-

ということでつくっていく。

「何だこの異常な濃度は…」

出来上がったバナナオレは、いまだかつて体験したことのないものであった。超絶濃厚、口上がりの滑らかさが異常。甘さがダイレクトに来る。一切の妥協がない。これはすごい…

撹拌時の泡がないだけで、飲み物はここまで雰囲気を変えるのかと、驚きおののいた…

■終わりに

今回ノリで作った真空ミキサーだが、バナナよりもむしろイチゴやトマト、あるいは緑黄色野菜など、発色が鮮やかなフルーツや野菜で試すと酸化防止の観点でより鮮やかでフレッシュなスムージーが作れると考えられる。泡を含まないという点で、カクテルメイクの新しい技法として、真空ブレンドも有っていいし、使い手の発想次第でいくらでも応用できるアイテムとなった。

3Dプリンティングの思いつきを形に起こす能力は本当に素晴らしいと、今回も大いに実感する結果となった。