Mk.16

Advanceの項で述べたREV機構の確率により、大型エグゾーストキャノンをドライブする方法が確立しました。それは同時に、小型エグゾーストキャノンであれば超高速での排気が可能になるということと同義であり、エグゾーストキャノン新時代の幕開けを予感させるものでした。

そこで過去のエグゾーストキャノンシリーズの集大成として、

・超高速排気

・超高速充填

・超高サイクルセミオートマチック

の3点の実現をコンセプトに設計に取り組み、作り上げたのがUHIのフラッグシップ機、

Exhaust Cannon Mk.16 Code-Name Assaultです。

設計

イラスト左端のValveの開閉を行うだけで、内部のピストンが往復する構造と成っており、吸気ポートと排気ポートをそれぞれ別経路とすることで、吸気排気それぞれの大幅な速度向上を狙っている。

上記のARREVのメカニズムを実際に装置に組み込んだ初めてのエグゾーストキャノンがMk.16である。

エグゾーストキャノンMk.16の概略図を上図に示す。先に示したARREVは装置の右端に実装されている。

Mk.16の動作シーケンスを下記に示していく。

1.

圧縮空気をポートIから導入する。この時ARREVのシリンダー内面にはポートIの位置で円周上に溝が掘ってある。この溝とピストンによって形成される流路を通って圧縮空気はまずARREV右端のポートRに導入される。

2.

ポートRに導入された圧縮空気はARREVピストンを左へ急速に押しこむ。この時ポートRへ直接大流量が導入されるのではなく、スロットルバルブを用いて流量をある程度絞っている。これは最初に示したARREVの動作シーケンスの3番において、トリガーとして抜き去る流量との差をつけるためである。

3.

ARREVピストンがポートEを完全にシールした後、今までポートIからポートRに接続されていた流路が、メインチャンバーへ切り替わる。圧縮空気はARREVピストンの内部を通ってメインチャンバーへ導かれる。

4.

メインチャンバーへ圧縮空気が導入され、メインピストンが左へ押し込まれる。

5.

メインピストンが内シリンダーと接触し停止した後、逆止弁構造に成っているメインピストンを乗り越え、内シリンダーと外シリンダーの間の空間に充填される。Mk.16に関してはこのドーナツ状の断面を有する空間がメインチャンバーであり、実際の容量は200ml程度と非常に小さくなっている。

以上で圧縮空気の充填のシーケンスは完了である。

6.

発射のトリガーはポートTを開くことである。ポートTからの流量はポートRのそれと比較し非常に大きく設定してあり、ポートRからの流入がありつつもARREVピストン背後の空間は一瞬で大気圧に戻る。

7.

ARREVピストンは圧力差により右側へ移動を開始する。ここでポートEが開き始める前にポートIが閉じられているのが重要である。仮にポートIが閉じる前にポートEが開いてしまうとメインピストン背後の空間の減圧を阻害してしまう。

8.

ARREVピストンが完全に後退し、ポートEがすさまじい速度で開放される。その結果メインピストン背後の空間は急激に減圧される。

従来のエグゾーストキャノンではメインピストン背後空間の排気はエアダスターやエアカプラ、そしてAEVといったシステムを用いて行っていたが、最初の2つはフルオートマチック化が不可で流量不足、AEVもメインピストン自体の重量増加といった問題点がある。

一方ARREVのピストン重量は非常に軽く、その上、開放時の流量も従来の物とは比較にならない。更にARREVのピストンがポートEを開放するまでに助走距離を設けることにより、ポートEの開放に要するまでの時間も非常に短くする工夫をしている。

以上の工夫により、このARREV単体で従来のエグゾーストキャノンと同程度の音響を発生させるほどにメインピストン背後空間の排気速度を向上させている。

9.

メインピストン背後空間が急速に大気圧に戻ると、今度はメインピストンが差圧により右へ急激に加速を始める。今回のMk.16ではメインピストンの構造も刷新しSleeve Valveと呼ぶ方式を採用している。ノズルが開放されるまでにメインピストンを十分に加速させ、大きな速度を獲得した所でノズルを開放させるというアイデアは従来と同様である。従来のメインピストンの重量の多くを占めていたのはピストン類を締結するボルトナット類であるが、SleeveValveではそれらを排し、すべて円筒状に削りだしたジュラルミンで構築されている。これにより強度と軽量性が向上し、また名前に示すように内シリンダーがメインピストンの鞘(Sleeve)の役割を果たしており、非常に安定したストロークを実現している。高速充填高速排気のセミオートマチック機構を実現するにあたってはピストンの安定動作は不可欠であり、このSleeve Valveの構造はそれに大きく貢献している。

10.

十分に加速されたメインピストンが後退し切ると内シリンダーがメインチャンバーに接続され、内部の圧縮空気は瞬間的に外部へ排気される。

この際のメインピストンの獲得速度は1MPa時で40m/sほどと試算され、非常に高速である。

この段階で今まで見てきた動作シーケンスの最初の状態に戻っているため、再び自動的にARREVピストン、そしてメインピストンは前進し、チャンバーに圧縮空気が充填され、発射待機状態に復帰する。