ULL-004 Crème de Cacao

久我山Park Barでのエクスペリエンスをベースに「果実酒は数ヶ月漬けるもの」という常識に挑む。

■レシピ

■工程

■背景:クレーム・ド・カカオを自作したい

バナナパウンドケーキが成功したのなら、次はやっぱりチョコバナナだろうということで、チョコレートリキュールの作り方を調べたところ、次のWebサイトがヒットした。

THE DRINK BLOG:HOMEMADE CREME DE CACAO

どうやら、クレーム・ド・カカオはカカオニブとウォッカ、砂糖、バニラの4種類だけで構築できるようである。ということでカカオニブを用いてチョコレートリキュールを作る手法を確立するべく、色々試してみることにした。

基礎となるのはウォッカ1Lあたりカカオニブ300gという比率。これを守って色々やっていく。


以下メモ

300gのバナナ浸漬バカルディオークハートに対して、90gのカカオニブを投入する。

■仮説:果物の浸漬時間と味

果実酒というと、よくあるのが梅酒瓶にホワイトリカー、氷砂糖、果物を漬けて半年くらい放置するというレシピだ。しかしこのPark Barでの一杯を飲んでそれに対する認識が全く変わった。美味しい浸漬酒を作るに当たり、月オーダーでの浸漬期間は必要はないのである!

考えてみれば、サングリアを自作した時も果物の漬け込みは一晩で十分であった。そして漬け込み後の果物のまずさと言ったら…  果物のいいエキスは一晩で十分に酒側に移行し、果肉側にはまずい成分だけが残る。そのまずい果肉が数ヶ月も酒とに共存したらどうなるだろう。当然、えぐみや渋みといった形で全体の質を損ねてしまうはずだ。

梅酒については梅の種の存在があるため、長期間の浸漬が必要かもしれないが、ことイチゴやオレンジ、パイナップルなどについては数日で抽出は完了し、逆に過度の浸漬は上述の理由から酒のクオリティとしてデメリットになるはずだ。つまり、漬込期間に対するおいしさの関係をグラフに起こした時、おいしさが最大となる極大値が存在するはずである。

ということで、実際に自分でやってもうまくいくか、実験してみることにした。

■イチゴジンを自分で作る

ということで素材を用意した。と言っても、ごくごくメジャーなBeefeaterとスーパーで買ってきたいちご(あまおう)だけである。

いちごはヘタを取って適当にスライスするだけ。

あとは適当な容器に入れてジンを適当に注ぐ。もう何から何まで適当。冷蔵庫で放置して、味見をしながら様子を見ていく。

そして43時間後、十分にいい感じであったので、浸漬を終えることにした。果肉を潰さない程度にフレンチプレスのフィルターをおろしてリキッドを瓶に移す。

■完成、そしてテイスティング

そうして得られたリキッドがこれだ。ああ…見よこの鮮やかで妖艶なマゼンタのリキッドを… あまりに素晴らしい発色にうっとりしてしまう。

単体でおしゃれにフレッシュ苺を載せて試飲。これは…うまい!!!いちごのフレッシュなフレーバがしっかりとジンに移っていながら、余計なエグミなどは皆無。本当にいいところだけが酒に移っている。ここに少しシュガーシロップを足すと更に旨さがブースト。いちごフレーバと甘みが合わさって脳が美味しい!と反応している。これは良い…なによりおしゃれ…

そして待望のジントニックである。合わせたのは王道のウィルキンソントニック。甘みが強めなのでいちごフレーバに合いそうという理由。トニックを加えるとマゼンタの色合いが変わって薄い茶褐色に。いちごの赤はアントシアニン由来であるというのは抑えていたので、てっきりトニックの炭酸で酸性に傾き、結果としてより鮮やかな赤を呈色すると考えていたのだが、予想と違ったようだ。あるいは希釈によって褐色っぽくみえているのかも…?

それはおいておき、味である。結論、これは最高であった。イチゴのアロマが弾ける炭酸に乗ってフレッシュに強く香る。トニックの甘さもイチゴのフレーバとバランスしてイメージ通りの味わいに。ジンがベースになっていることを忘れそうだが、しかしこの馴染みはきっとジンではないと成し遂げられないのだろう…わずか48時間の浸漬でここまでの結果が得られるとは。漬込酒、奥が深い。

■最後に

簡単といえば簡単な果物漬込みであるが、これほど短時間で良い結果が出るとなるとそれはそれで考えることが多く、やや悩ましい。とにかく大事なのは味見という行為だ。自分自身の味覚と経験をアップデートすることが最も重要なのは自明である。その点、やはりParkBarのマスターの作った作品はやっぱり素晴らしかった。一長一短では身につかないスキルだが、頑張っていこう…

今回は純粋に漬け込んだ酒を完成品としたが、例えばこの果実リキッドが染み出したスピリッツをベースに新しい酒を作り出す場合にも今回の手法は大いに有用だ。例えばハーブを漬けたりする場合にも、果物だけは先行して浸漬し、ベストタイミングで取り出したあとにハーブを加えると具合が良さそうだ。