100Yen Blow Gun Mk.2

前回の100均小型吹き矢では、その小型化に主眼が置かれていました。ここで、その過程で導出した吹き矢の初速を決定づける以下の式を見てみると、じつはさらなる可能性が潜んでいることがわかります。

吹き矢に作用させる圧力をP[Pa]、筒内径をd[m]、加速長をL[m]、弾体重量をm[kg]とすると、得られる矢の初速v[m/s]は下記のとおりです。

v=((πPLd^2)/2m)^0.5

前回の小型吹き矢のパラメータはd=0.005 [m] L=1 [m] m=0.0006[kg]、そして肺が発生する圧力はP=10*10^3 [Pa] としたとき、理論初速はv=25.6 [m/s] と計算され、実際に実験でもそれと近しい値が得られています。

ここで、この吹き矢という体系における各パラメータに着目すると、まだまだパワーアップの余地がある事がわかります。たとえば肺圧力Pの値を増大させれば吹き矢に大きな力がかかるのは自明です。ただしそのためにはプロのトランペッターばりの肺トレーニングをこなす必要があり、現実的ではありません。一方で筒内径、加速長については筒の設計次第でいくらでも増大可能…両者ともに値が大きくなればなるほど初速は大きくなり、さらに乗数に着目すると筒内径dが最も初速に効いてくる事がわかります。

ということで今回は筒内径を大型化した本気のハイパワー吹き矢を作っていきます。

製作

製作にあたっては次の素材と工具を用意します。いずれも100円ショップで入手可能です。

  • 突っ張り棒(できるだけ太いもの)
  • 釘セット
  • クリアファイル
  • 粘着布テープ
  • ハサミ
  • ペンチ
  • ニッパー


■筒(バレル)の製作

今回の主役となるのがこの突っ張り棒です。100円ショップを捜索した結果、この突っ張り棒が吹き矢の筒としてベストな素材であることが判明しました。内径が10mm程度でかつ極力長いものを買ってきましょう。

突っ張り棒は2つのパイプがペアとなって構成されており、そのうち使用するのは外側のパイプになります。ペンチを駆使して両者を気合で分解し、外側パイプの内部に収められているスプリングも気合で引っ張り出し、ただの筒にしてやりましょう。

こうして、200円で比較的精度の良いパイプを入手することができました。

筒の端部には写真のようなゴム足がついています。内側だけをくり抜き、再び筒にはめなおすことで、吹き矢の筒、すなわちバレルは完成です。

■矢(ダート)の製作

バレルができたらそこに込める矢(ダート)を作っていきます。メインとなる素材は「クリアファイル」と「釘セット」です。まずはクリアファイルを6cm角程度に切り出します。これを手巻き寿司のように丸めることで円錐状のコーンを作っていきます。

丸め方はもう慣れとしか言いようがありません。なるべく円錐が鋭くなるよう丸めていきます。

丸め終わったら緩まないよう、粘着テープでしっかりと固定します。この辺も慣れです。頑張りましょう。

コーンができたら先端に釘を接合していきます。大きめの釘をセットのパッケージから選び出し、コーンの先端に差し込みます。実はこの釘の固定方法がこのダート自作におけるキモであり、固定方法が軟弱だと、弾着した際の衝撃でコーンと釘が一瞬で分離してしまいます。

ではどうするか。

パッケージから小さな釘を選び出し、コーンに挿入した釘の頭のすぐ背後を狙いペンチで差し込みます。奥まで射し込んだら、ニッパで適切にカット。最後は粘着テープで抜けないように補強します。

これによってコーンと先端の釘は強力に固定され、並の弾着衝撃では分離しません。

最後にダートの外形をバレル内径に合わせます。最初はバレルに射し込んでみて、大雑把にカットしていき、最終的に内径に絶妙にフィットする直径になるよう、慎重にカットしていくのがコツです。内部にダートを挿入した際、バレルを傾けても落ちてこないが、息を吹き込むとなめらかに加速する程度の密着がベストです。

ということで完成です。見た目は雑な仕上がりですが性能はピカイチで、素晴らしい速度で飛翔して対象にスコーンと気持ちよく刺さります。これが本当にストレス解消にもってこいで、中学生の頃の筆者は自室に木製の的を設置して毎日吹き矢のエイミング練習に努めていたという暗黒時代があります。ぜひお試しあれ。

■ダートをさらに強化する

バレルが完成し、その上でダートの基本的な作り方をマスターし、吹き矢自体の操作にも熟達した方なら、上述のクリアファイル式ダートの強度を更に向上したいと思うことでしょう。そこでかつて筆者が開発したのがこのアルミニウム製ダートです。クリアファイルと比較して圧倒的に頑丈であり、耐久性が大きく向上します。固定には100均のアルミテープを用いることで、外観もよりクール。太陽光を反射しつつメタリックな弾体が飛翔する様は心躍ります。

基本的な作り方は上述のクリアファイル式と同様ですので、簡単に写真で手順をご紹介します。

作業中はアルミ缶のエッジで指を切らないように注意する必要があります。かなり慎重にやらないと指先がボロボロになります(実際、中学時の筆者の人差し指はボロボロでした)

慣れてくると無意識でも量産可能になります。たくさん作って並べて悦に浸りましょう。