100均材料で作る小型吹き矢

まずは手始めに100円ショップで手に入る材料で極小吹き矢を製作します。構成も極めてシンプルです。必要な材料及び工具は以下の通り。

  • PP軸綿棒(軸が紙製のものだと改造できないので要注意)
  • 瞬間接着剤
  • ストロー
  • 養生テープ
  • ハサミ
  • ペンチ

矢を構成するのはこの2つの材料のみ。調査の結果、ダイソーで販売されている上記釘セットには直径1.75mmの釘がパッケージされており、これが同じくダイソーのPP綿棒の内径が神シンクロする事が判明しています。つまりこの釘を先程加工した綿棒に差し込んで固定すれば工事完了というわけです。

ではどうやって固定するか。

まずは綿棒の加工です。加工と言っても作業は超簡単。片方をハサミで切り落とし、端から1cmくらいのところをペンチでかしめます。

釘については頭をペンチで落としておきます。

釘と綿棒の固定方法は極めてシンプル。PP綿棒の内部に瞬間接着剤を流し込み、そこへ頭を落とした釘を挿入するだけです。直径が神シンクロ且つ釘の表面に設けられた凹凸によって、瞬間接着剤の性能が遺憾なく発揮されます。まさに最初から吹き矢になることが決まっていたかのような組み合わせです。

完成した綿棒ネイル吹き矢です。そのフォルムには一切のムダがなく洗練されています。

吹き矢の筒についても今回は100均材料で済ませます。筆者が調べた範囲ではストローがベターな選択です。蛇腹の部分は不要なので落としておきましょう。ストロー1本でも発射することはできますが、初速は非常に遅いです。そこで複数のストローを連結して必要な加速長を稼ぎます。

ストローをつなげるにはペンチ等で端部の直径を軽く広げるのが簡単です。こうすることで適切な嵌合が容易に得られます。

はめ合わせた箇所は養生テープで留めておくと良いでしょう。3本ほど組み合わせるといい感じです。あえてここでテープで留めず、分解可能としておけば、筆箱等の中に忍ばせることも可能になります。

ダンボールを対象として発射するとバシバシ刺さり、2~30mは容易に飛翔するなどなかなかに高い性能を持っています。

ここで綿棒ネイル方式とは異なるアプローチを紹介します。

吹き矢の要素のうち、最も面白いのは「高速で飛翔した矢が対象に刺さりその動きをピタッと止める」その瞬間かと思います。そこでこの「刺さる」ということにフォーカスした吹き矢を製作します。

このタイプは筆者が中学生の時に編み出した手法であり、当時はこれを量産して筆箱の中に忍ばせておくという我が暗黒厨ニ時代の象徴でもあります。

必要な材料及び工具は以下の通り。

  • 綿棒
  • まち針
  • チャッカマン等のライター
  • ハサミ
  • ペンチ

まずは先程と同様に綿棒の加工です。今回は綿の部分を切り落とした端部を軽くライターで炙ってからカシメます。こうすることで、先端は中実のプラスチックの塊になります。

次はまち針サイド。と言っても上記のような100均まち針の持ち手部分をペンチで切り落とすだけです。

このまち針を綿棒に接合するにはライターを使用します。ライターでまち針を炙って赤熱させてから綿棒のカシメた部分に埋め込みます。ややコツのいる作業ですが、うまく施工すれば強固な固定ができます。

そうして完成したのがこの綿棒まち針吹き矢。特徴はなんといっても「身の回りのだいたいのものに刺さる」ことです。

ご覧のようにダンボールはもちろん、床や壁、ノートの表紙、プラゴミ箱、果ては空き缶に至るまで。そのまち針の鋭さゆえにだいたい何にでも刺さります。

以上のように簡単ながら高い性能を誇る綿棒吹き矢ですが、100均というレギュレーションを取り払えば、さらなるパワーアップが可能です。

着目すべきはその筒。100均縛りではストローを使用していましたが、難点として綿棒の外径が5mmであるのに対してストローの内径は5.5mmと両者の間に隙間が存在しているため、加速時にはそこから空気が漏れ、その分矢にかかる圧力が下がり、結果として初速が低下してしまいます。

そこで調達場をホームセンターにランクアップさせると最適なアイテムが手に入ります。

ズバリ内径5mmのアルミパイプです。

上図の通り、今回採用した綿棒と神がかり的シンクロを達成します。矢と筒の間の隙間が殆どないため、矢は肺で生じた圧力をそのまま受けて加速することができ、これによって初速が飛躍的に向上します。

ここで圧力をP[Pa]と筒内径d[m]、加速長L[m]、弾体重量m[kg]とすると、得られる矢の初速v[m/s]は下記のとおりです。

v=((πPLd^2)/2m)^0.5

この式に今回の体系を当てはめてみます。

d=0.005 [m] L=1 [m] m=0.0006[kg]

また肺が発生可能な圧力については以下文献を参考にします。

http://www.personal.psu.edu/ref7/apparatus/2003%20competition/deardorff-LC.htm

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9972572

以上の文献によると、一般的な人間が発生できる圧力は約10k [Pa]、強靭な心肺機能を持つトランペット奏者であれば25k [Pa]程度までの圧力が出せるそうです。という事でひとまずP=10*10^3 [Pa]とすると、得られる矢の初速は、

v=25.6 [m/s]

となります。時速換算だと92 [km/h]となるのでなかなかの速度です。

という事で試しに初速計測を行ってみました。矢が飛行する様子をスローモーションで撮影し、経過時間と飛行距離から速度を割り出す古典的な手法です。今回は5回計測を行いました。結果は以下の通り。

25.8 / 20.6 / 22.3 / 22.3/ 24.9 [m/s]

という事でそれらしい値が出ました。結構な初速です。人間の吹く息だけでこれだけの速度が得られるというのはなんとも楽しい。

まとめ

100均材料と人間の肺があれば、結構ハイパワーな小型吹き矢が作れる事がわかりました。ネイルバージョンもまち針バージョンも、両者の良さがそれぞれあります。暇つぶしに、ストレス解消に、サクッと作ってみてはいかがでしょう。

さて、人間の出せる圧力には限界がありますが、加速長と筒内径についてはまだまだ増大の余地が存在します。ここで先の数式を見ればおわかりの通り、加速長と筒内径を大きくしていけばさらなる初速度が獲得できることになります。という事で次回はさらなるスケールアップによる初速度増大のアプローチを模索していきます。