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Mk.5


従来の「二重筒式」をから内筒を廃した新たな機構の有用性を実証したMk.4
そのMk.4の構造を更に洗練させ、

・極力シンプルな構造
・水道管等の規格部品を用いた設計
・旋盤を使わずとも容易に製作可能

以上のコンセプトで製作したのがこのMk.5です。
現在のエグゾーストキャノンにおいて主流と成っている「単管式」の構造を初めて確立させたのもこのMk.5であり、水道管で容易に製作可能であることから、ブログにて公開後、多くの方がこの構造を採用したエグゾーストキャノンを入門機として作っているようです。

以上のようなこともあって、現在のエグゾーストキャノン界隈において最も大きな影響を及ぼした装置と言えるかもしれません(個人的に思っているだけですが…

以下製作記です。



設計

「図解アリエナイ理科ノ工作」に於いてその製作難易度は最高難易度と示されていたとおり、
エグゾーストキャノンという装置は作るのが非常に難しく、またそのハンドリングには危険を伴うものという印象でした。

実際過去のMk.1,2,3については過去の製作記を見ていただければ分かるように、ヤスリやドリル等を駆使しまくって製作されており、
到底気軽に製作することはできない装置でした。
加えて溶接という、初心者にはその健全性が不確定な工程を含んでいるため、安全性の観点でも非常に難しい装置です。 
Mk.4になって安全性という観点では大幅に改善が得られましたが、依然として旋盤が必須であり、製作は容易ではありません。

そこでなんとかして、簡単に製作でき、そして安全性の高いエグゾーストキャノンを製作しようと、冒頭に挙げたコンセプトで設計を開始しました。


当時の設計イラストです。見て分かるように、Mk.4に存在したメインピストンを収めるシリンダーを排し、ピストンが摺動するシリンダー自体が圧縮空気のチャンバーとなる構造、すなわち「単管式」の構造となっています。詳細な動作原理等については単管式の項に記載してあります。

図から分かるように、チャンバーを構成するすべての部品は水道管により構成されています。
水道管は少し大きめのホームセンターであれば容易に入手可能な素材であり、また規格のネジがあらかじめ切ってあるため、それぞれを強固に接続、そして確実にシールすることが可能です。また水道管は圧力がかかることを前提とした部材であり、実際に配管作業後の水密試験に於いては1.75 MPaの圧力を実際に配管にかけ、変形や漏れがないかをチェックします。そのためエグゾーストキャノンにおいて想定される1 MPa程度では全くびくともしません。

以上より水道管は今回のようなシンプルなエグゾーストキャノンの製作においては入手性、製作性、そして安全性の観点で極めて最適な素材であると言えます。


2010.6 製作

材料を買い集めてきました。今回はすべての部品を地元のホームセンターで調達することが出来ました。


チャンバーとシリンダーを構成する水道管部品と、圧縮空気を導入するためのエアカプラのプラグ(右端)です。
水道管に関しては奥のパイプが長ニップル、そして手前の部品については左から、キャップ、異径ソケット(あるいは径違いソケット)、ブッシングという名称の部品です。

これらを組み合わせてチャンバーを構成します。
ちなみにキャップについては外径がダサかったので、旋盤で加工し上図のように外径切削を行っています。



その他ピストンを構成する部品も合わせて上図のようになります。ネジ類やゴム板、まな板など、全てホームセンターで手に入るものばかりです。



まずノズル部分を作ります。と言ってもキャップの中央に穴を開けるだけです。
筆者は旋盤を使って上図のように穴あけ加工を行いましたが、ハンドドリルで小さな穴を開けた後、ヤスリで整える方法でも全く問題ありません。水道管は鋳鉄でできているので、金属ヤスリで容易に加工することができます。



次にノズルをシールするピストンを作っていきます。
まな板を適当なサイズに切り出し、中心にドリルで穴を開けます。



次にM8タップで雌ねじを切ります。



雌ねじを切ったあと、適当な寸切りボルトにねじ込み、両端をナットで締め上げ固定します。あとは上図のように旋盤に固定して外径を円形に加工していくだけです。


旋盤があるとこのような加工は一瞬で完了します。やはり旋盤は素晴らしい…
しかしこの加工についても旋盤は不要です。



ボール盤を所有している場合は、自在錐等でまな板を大まかに切り出し、



最後は先ほどと同様にまな板自体をチャッキングし、ヤスリを使って外径を求める寸法に仕上げれば、旋盤と同様の物が出来上がります。
また更に気合があれば、フラチキ氏のようにハンドドリルのみを用いて仕上げることも不可能ではありません。
何を使って作るかは問題ではなく、どのような形状が求められているかが本質です。それを実現できれば手段は問いません。


そうして加工したまな板から、ピストンホルダーを作ります。ピストンホルダーはピストンをシリンダー中央に保持するための部品です。以前は高ナットとボルトを使って作っていましたが、これもまな板を使って作ってしまうのが楽です。
適当なノミを使ってY字に切り出します。


切り出したピストンホルダー。

後は作った部品を組み合わせ、ピストンユニットを完成させます。


このような感じに組めたらピストンユニットは完成です。ピストンユニットの先端にはゴム版が取り付けてあり、これがノズル部分に押し付けられることで圧縮空気のシーリングを行います。そして後端のまな板部品がメインピストンであり、シリンダー中を圧縮空気の力を受けて摺動します。

ちなみにまな板を用いてピストンを作るというのは、今となってはかなり古典的な手法です。
個人的におすすめは、円形のゴム板をステンレスワッシャーで挟み込むサンドイッチ方式です。これなら旋盤もボール盤も必要とせず、性能の高いピストンを容易に製作できます。
詳しくはSealingの項を参照してください。



ピストンユニットが完成したので組み立てていきます。摺動部であるシリンダー内面にはあらかじめグリスを塗布しておきます。
グリスを塗布したら水道管で組んだシリンダーにピストンユニットを装荷して残りの部品を組み付けて完成となります。

なお水道管部品を組みあげる際にはシーリングのために上図のようにシールテープをねじ山に巻きつけておく必要があります。
このシールテープを巻きつけた状態で、テープもろもも締め上げることで、接続部分では確実なシールが実現できます。




2010.6.29 完成 実射実験


ということで製作着手からわずか2日で完成しました。
水道管の採用により最小限の加工で済むため、慣れた人ならば1日でも完成させられるでしょう。

では実際に動かしてみましょう。


CDに向けて撃ってみす。圧力は0.8MPaに設定しました。




CDは一瞬で木っ端微塵になってしまいました。データ消去にも使えます。



内部に圧縮空気ではなくLPGを充填して、火種に向かって撃ってみました。
意外と地味でした…



現在のエグゾーストキャノンにおいて最も多く作られている「水道管を用いた単管式エグゾーストキャノン」
その源流はおそらくこのMk.5でしょう。

広い作業スペースや、高価な工作機械を必要とせず、ホームセンターで手に入る材料で手軽にエグゾーストキャノンの面白さを体験することができ、また安全性にも優れているので、入門には最適な機種と言えます。


2015.4.10 yasu


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